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実験記録12銘柄記事13本配分は2026-08-11時点

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SE シー・リミテッド|Shopee値上げ分はどこへ消えたか

シー・リミテッドの2026年Q2決算で、ShopeeのテイクレートはGMV比8.5%から11.2%へ拡大した。だが増えた売上18億ドルに対し調整後EBITDAの増加は2,800万ドルにとどまる。値上げ分がどこへ流れたかを損益で追った。

通行料は8.5%から11.2%へ上がった。それでも四半期の利益は、前年から2,800万ドルしか増えていない。

8月11日、SEの株価は14.6%上げた。翌日から3日続けて下げ、8月14日の終値は121.94ドル(stockanalysis.com)。上げ幅の三分の一を戻した格好だ。決算そのものは強かった。売上78億ドル、前年同期比48.1%増で市場予想を上回った。それでも祝賀は一日で終わっている。

数字を分解すると、この温度差の出どころが見えてくる。

GMV 383億ドルに対し、コア収入は66%増えた

Shopeeの流通総額(GMV)は383億ドル、前年同期比28.4%増。注文数は42億件で27.5%増。8四半期続けて前期を上回った。ここまでは順当に伸びている企業の数字だ。

目を引くのは収入側である。コアマーケットプレイス収入は43億ドルで65.6%増。GMVが28%しか伸びていないのに、そこから取る金額は66%伸びた。割り算をすればテイクレート(GMVに対して受け取る手数料率)はおよそ11.2%。一年前は8.5%前後だった。二年分の値上げを一年でやったに近い。

料金所が値上げに成功している、ということだ。出店者は他所へ逃げず、上がった料金を払っている。東南アジアのeコマースで「Shopeeにいない」という選択肢が実質的に存在しないことの裏返しでもある。

テイクレート11.2%は誰が払っているのか

値上げの主役は広告だ。8月10日の決算で、Shopeeの広告収入は70%超の伸びと説明された。AIによる検索とレコメンドの改善で購入転換率が14%上がり、チャットボットが問い合わせの約8割を処理して顧客サービスのコストを3割下げた、というのが会社側の説明である。

広告単価の上昇は、出店者から見れば「同じ売上を作るために払う額が増えた」ということでもある。転換率が上がっている間は、出店者は納得して払う。効果が頭打ちになったとき11.2%を維持できるかどうかは、まだ誰にも分からない。次の四半期で最初に確かめるべき数字はここだ。

増収18億ドル、増益2,800万ドル

いちばん引っかかる行はここにある。

ShopeeのGAAP収入は56億ドル、49%増。前年からおよそ18億ドル増えた。同じ四半期のShopee調整後EBITDAは2億5,540万ドルで12.2%増──金額にすれば約2,800万ドルの増加でしかない。増えた売上18億ドルのうち、利益として残ったのは2%に満たない。

消えた先の大半は販売・マーケティング費用だ。四半期で16億6,000万ドル、前年同期比64.5%増。テイクレートを2.7ポイント引き上げて集めた金は、そのまま新しい買い手を連れてくるために使われている。実際、新規アクティブ買い手は35%以上増えた。金が効いていないわけではない。効いているからこそ、止められない構造にも見える。

会社の言い分はこうだ。フルフィルメントと当日配送、VIP会員、ブラジル投資はいずれも先行費用であり、単位あたりの採算は改善している。通年でShopee調整後EBITDA10億ドルという数字は、この決算で「狙い」から「見込み」へ格上げされた。上半期の実績はおよそ5億1,000万ドル。下半期をほぼ横ばいで通せば届く。

届くかどうかで、ここに書いた読みは判定できる。下半期にShopeeのEBITDAが上半期を上回り、テイクレートが11%台のまま販管費の伸びが売上の伸びを下回るなら、この懸念は外れだ。逆に、値上げ分がふたたび費用に吸われて利益が横ばいなら、値上げできる料金所ではなく、値上げしないと成長を買えない料金所だったということになる。

利益の44%を稼いでいるのは、いまだにゲームだ

見落とされやすい事実がある。セグメント別の調整後EBITDAは、Shopeeが2億5,540万ドル、金融のMoneeが2億8,800万ドル、ゲームのGarenaが4億2,980万ドル。最大の利益源はeコマースでもフィンテックでもなく、Garenaだ。三事業の合計に対しておよそ44%を占める。Free Fireは平均1億人を超える日次アクティブユーザーを維持している。

十年近く生き延びているモバイルゲームが、東南アジア最大のeコマースの投資原資を出している。強みであり、同時に脆さでもある。Free Fireの勢いが鈍った瞬間、Shopeeとブラジルへの投資ペースは維持できない。

Monee 111億ドルの貸出と、遅れて出てくる答え

Moneeの収入は14億ドル、58.9%増。貸出残高は111億ドルで62%増、90日を超える延滞の比率は1.0%で安定している。四半期で530万人が初めて借り、フィリピンが6番目の残高10億ドル超市場になった。

延滞率1.0%は立派な数字だ。ただし、残高が62%で膨らんでいる最中の比率であることは頭に置いておきたい。貸出は増やした直後がいちばん綺麗に見える。焦げ付きは一年遅れて出てくる。この数字が本当に試されるのは、貸出の伸びが鈍ったときだ。

ブラジルで、MELIとShopeeが同じ表に載る

この決算でもうひとつ動いた話がある。Moneeがブラジルで単独アプリを出す。Shopeeのアプリから金融を切り離し、eコマースのデータ供給なしに与信の精度が保てるかを試すことになる。8月にはブラジルで即日配送サービスも立ち上げた(TipRanks、8月13日)。相手はAmazonであり、そしてMELIだ。

ここは自分の持ち場の話にもつながる。新興国プラットフォームの枠を誰で埋めるかを考えるとき、MELIのブラジルシェアが守勢なのか攻勢なのかは、MELI単体の決算では判別できない。Shopee側の数字と突き合わせて初めて分かる。今回、その片側が動いた。

枠は12で固定してある。増やさない。新しく入れるなら必ず誰かを出す。SEを候補として見るなら比較相手はMELIとKaspiであり、判断は10月末の四半期レビューまで動かさない。決算が良かった翌週に買い、悪かった翌週に売る運用こそ、いちばん避けたいものだ。

値上げに成功した料金所と、値上げしないと通行者を集められない料金所は、決算の見出しでは区別がつかない。区別がつくのは、下半期の利益の行だけだ。