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MRVL マーベル 2027年Q2決算|売上最高でも粗利率は下がる

マーベルの2027年度第2四半期は売上27.39億ドル・前年比37%増と過去最高を更新したが、第3四半期の非GAAP粗利率見通しは中心値58.0%へ90ベーシスポイント低下した。データセンター比率79%とカスタム加速の裏で、粗利率は60%から遠ざかっている。

成長の値段は、必ずどこかの欄で払われる。マーベルの場合、それは粗利率の行に書いてある。

売上は上振れた。一株利益も上振れた。次の四半期の見通しに至っては、市場予想を約4%上回る31.50億ドルを置いてきた。それでも時間外の株価は7.6%下げた(TS2.tech、8月27日18時時点)。

数字を否定されたのではない。数字の質を疑われたのだ。

58.9%から58.0%へ、90ベーシスポイントの引き算

第2四半期の売上高は27.39億ドル。前年同期比37%増で過去最高、5月に示したガイダンス中心値を3,900万ドル上回った。非GAAP一株利益は0.94ドル、GAAP一株利益は0.33ドル。営業キャッシュフローは6.055億ドル(マーベルIR、8月27日)。

粗利率はGAAPで53.1%、非GAAPで58.9%。非GAAPは前年同期から50ベーシスポイント下がっている。そして第3四半期の見通しは57.5%から58.5%。中心値をとれば58.0%で、前四半期からさらに90ベーシスポイントの引き算になる。

売上が15%伸びる四半期に、粗利率が1ポイント近く落ちる。この組み合わせが何を意味するかは、カスタムシリコンという商売の中身を思い出せばわかる。顧客の仕様で設計したチップを台湾で焼いて納める事業だ。売上に占めるウェハと組立の原価比率が高い。標準品より一枚あたりの取り分が薄い。だから、売れば売るほど全社平均は下へ引っ張られる。

伸びているから下がっている。ここが厄介なところだ。

データセンター比率79%は、良い知らせなのか

データセンター部門は前年同期比46%増となり、全社売上の79%を占めた。1年前は74%、前四半期は76%だった(24/7 Wall St.、8月27日)。四半期ごとに3ポイントずつ、会社の重心が移動している。

純度が上がった、とも言える。AI投資の増減がほぼそのまま業績になる会社になった。だがもう一つの読み方もある。粗利率の低いほうの事業が、会社の8割になろうとしている。

マット・マーフィーCEOは、カスタム事業の本格的な加速は2027年度後半からだと述べている。2029年度にカスタムXPUで100億ドルという目標も置いたままだ。つまり粗利率への逆風は、ここからが本番ということになる。

240の区切りが動き出すのは8月1日から

8月19日に開示されたグーグルへのワラントは、約97.7%が240の区切りに分かれている。グーグル向けカスタム製品売上5億ドルごとに、区切りが一つずつ権利化する。その計測期間は2026年8月1日から2033年1月まで(マーベル8-K)。

8月1日は、今回報告された四半期の最終日にあたる。数えはじめるのは次の四半期からで、今回の決算にはまだ1日分も入っていない。

そしてその5億ドルは、粗利率の低い5億ドルである。区切りが進むほど売上は積み上がり、平均粗利率は下がる。ワラントの分母と、粗利率の分子は、同じ方向を向いていない。

粗利率60%とカスタム比率の上昇は、同時に起こるのか

8月4日にこの会社を見送ったとき、もう一度検討する条件をこう書いた。「非GAAP粗利率が60%台に戻り、かつカスタム売上比率が上がること」。二つが同時に起きたら考え直す、という条件だ。

今回の決算は、その二つが逆方向に動くことを示した。カスタム比率は上がり、粗利率の見通しは下がった。事業の構造上、この連言はほとんど成立しない。条件が満たされないのではなく、満たされうる形をしていなかった。

事実によって条件が否定されるのは正常なことだ。今回そうなったのは、事実ではなく条件の書き方のほうだった。

正しく書くならこうだろう。粗利率の水準ではなく、カスタム売上1ドルあたりの利益で測る。あるいは、カスタム比率が上がる過程で非GAAP営業利益率が保たれるかを見る。この目線に立つと、今回の四半期は評価が反転する。非GAAP営業利益率は36.6%へ拡大している。粗利率を1ポイント差し出して、営業段階では利益率を広げた四半期だった、という読み方が成り立つ。

どちらの読み方が正しいかは、まだ決まっていない。条件を書き直すのは10月末に決めてある日で、それまでは動かさない。悪い数字が出た週に条件を緩めるのは、条件を持っていないのと同じことだからだ。

ブロードコムの側から見えること

グーグルの設計を請ける会社は、いま一社ではない。カスタム事業の加速が2027年度後半からだというマーベルの説明は、裏返せばブロードコムの取り分がその時期に試されるということでもある。保有している7%の枠は動かしていないが、9月2日のブロードコム決算で見るのはカスタムASICの受注残の方向だ。売上でも利益でもない。

時価総額は約2,202億ドル(8月27日終値244.99ドル・MarketChameleon)。年初来では8月21日終値時点で179%高という走り方をしてきた。5月時点の通期見通し約115億ドルで割れば年間売上の19年分になるが、今回その見通し自体が2027年度・2028年度とも再び引き上げられたため、実際の倍率はこれより低い。10月6日の投資家向け説明会で、その数字が示される。

決算資料でいちばん目立つ行は売上高だ。だが今夜の相場が見ていたのは、その二行下だった。