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実験記録12銘柄記事25本配分は2026-08-18時点

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NDSN ノードソン|AI比率27%の会社をどう値付けるか

ノードソンの2026年度Q3は売上・利益とも過去最高で受注残は35%増えた。ただし先端エレクトロニクス部門は売上の26.9%にすぎず、予想PER26.8倍が何に払われているのかを分解した。

決算そのものに文句はない。問題は、その良さがどの事業から来ていて、株価がどの事業に値段を付けているのかだ。

8億1,770万ドル。ノードソン(NDSN)が8月19日の引け後に出した2026年度第3四半期の売上高で、四半期として過去最高になった。前年同期の7億4,150万ドルから10%増。買収と為替の影響を除いたオーガニックの伸びは12%で、こちらのほうが大きい。調整後の一株利益は3.25ドルで19%増、これも過去最高。通期見通しは売上30億3,500万〜30億7,500万ドル、調整後EPS 11.80〜12.00ドルへ引き上げられた。

そして受注残が前年同期比35%増。前四半期時点では18%増だったから、角度が上がっている。装置を売る会社で受注残がこう伸びるのは、需要が本物であることを示す数少ない客観的な証拠だ。市場も素直に反応し、株価は通常取引で309.92ドル(8/19終値、前日比+1.88%)、時間外では324.01ドルまで買われた。

ここまでは、誰が読んでも良い決算である。

8億1,770万ドルのうち、2億2,000万ドル

内訳を見ると、話は少し変わる。

  • Industrial Precision Solutions(産業用塗布): 3億6,700万ドル(+5%)
  • Medical & Fluid Solutions(医療・流体): 2億3,100万ドル(+5%)
  • Advanced Technology Solutions(先端エレクトロニクス): 2億2,000万ドル(+28%)

+28%で伸びているのはATSだけだ。半導体の先端パッケージング向けにアンダーフィルなどを塗布するディスペンス装置と、X線・音響顕微鏡による非破壊検査。AI向けチップの実装工程に直接触れているのはこの部門で、そしてこの部門は**全社売上の26.9%**でしかない。

残る73%は、包装材の接着剤、ポリマー加工、医療用チューブへの流体塗布といった、AIサイクルとほとんど関係のない事業である。どれも悪い商売ではない。ノードソンは連続増配を数十年続けてきた会社で、粗利率は55%前後を保っている。ただ、成長率は5%だ。

27%のために、73%を買う

「AI関連銘柄」という言葉を使うとき、そこには分子と分母がある。分子は、AI需要に直接ぶら下がっている売上。分母は、その株を買うときに一緒に手に入る全部。

ノードソンの分子は27%だ。この株を1株買うと、先端パッケージングの成長を0.27株分と、伸び率5%の産業機械を0.73株分、抱き合わせで買うことになる。

薄まっているのが悪いという話ではない。分散は安定を生むし、実際にこの構造がノードソンを景気サイクルに強い会社にしてきた。問題は値段のほうだ。

予想PER26.8倍は何を引き受けているのか

株価が309.92ドル(8/19終値)で、予想PERは26.8倍、PEGは2.06倍(8月中旬時点)。DCFベースの試算では1株264ドル前後という数字も出ており、複数の評価軸で「割高寄り」に振れている。

26.8倍という倍率自体は、優良な産業機械メーカーとして法外ではない。だが、この倍率がついている理由の相当部分は、+28%で伸びるATSと受注残35%増という「AIの匂い」に対して払われているように見える。

ここで会社自身の言葉を突き合わせると、ずれが見えてくる。ノードソンが掲げるAscend戦略の中期目標は、2029年まで年率6〜8%の売上成長と10〜12%の調整後EPS成長である。経営陣が自分で置いている長期の伸びは、AIの成長率ではない。産業機械の成長率だ。

もう一点、収益の質について。今四半期の純利益は1億5,285万ドルで、GAAPの一株利益は2.73ドル。ここには少数株式投資の非現金損失が入っている。第1四半期には逆に非現金の「利益」が計上されていた。本業と関係のない持分評価が四半期ごとに損益を上下させる構造で、GAAP純利益だけを見て「予想に届かなかった」と読むと実態を外す。調整後の3.25ドルのほうが実力に近い。

ASMLやCDNSと同じ棚に置けるか

私が銘柄を見るときの最初の問いは、いつも同じだ。通行料を取る側か、支払う側か。 AIで最終的に誰が勝つかは分からない。だから、誰が勝っても料金所を通らざるを得ない位置にいる会社を探す。

この基準でノードソンを測ると、答えは灰色になる。先端パッケージングの検査・塗布工程で有力なサプライヤーであることは間違いない。だが「迂回できない関門」かというと、そこまでの証拠が見当たらない。ディスペンスにも検査にも代替手段があり、装置を替える顧客のコストは、EUV露光装置を替えるコストとは桁が違う。

傍証もある。ノードソンの投下資本利益率(ROIC)は、ここ数年低下傾向にある。売上と利益が過去最高を更新し続けているのにROICが下がるということは、成長を買収で買っていて、その買収がまだ資本効率に見合っていないということだ。真に価格を決められる会社の数字の動き方ではない。

40%という線を、先に引いておく

というわけで、私はノードソンを12銘柄の枠に入れない。ただし「入れない理由」を気分ではなく数字で書いておく。次に見直すのはこの2つが起きたときだけだ。

ひとつ、ATSの売上比率が2四半期連続で40%を超えること。ただし他の2部門が縮んで比率が上がった場合は数えない。持ち場が入れ替わったことを見たいのであって、他が減った結果を見たいのではないからだ。

ふたつ、先端パッケージングの特定工程で、ノードソンが事実上の標準か支配的シェアを取っていることが、会社の開示か第三者データで具体的に確認できること。

株価が上がったからでも、決算が良かったからでもない。この2つのどちらかが起きたときに限る。逆に言えば、来四半期も再来四半期も最高益を更新し続けたとしても、それだけでは判断は動かない。

私が外れているとしたら

正直に書くと、この判断には計算上の弱点がある。

ATSが今の+28%を維持し、他の2部門が+5%で伸び続けたとしよう。3年後、ATSは約4億6,100万ドル、他2部門は合計約6億9,200万ドル。ATS比率は40.0%になる。私が引いた線に、算術だけで届いてしまう。

つまり私は「まだ27%だ」と言っているが、時間の側はATSに味方している。この会社が数年後に「先端パッケージングの会社」に変わっている可能性は、決して低くない。そのとき私の判断は、間違っていたのではなく、遅かったことになる。

それでも今は買わない。27%は27%だからだ。次に数え直すのは、10月末に締まる第4四半期の決算が出るときになる。