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DE ジョンディア2026年Q3決算|建設機械が伸びた理由

ジョンディアの2026年度第3四半期は農機が谷、建設・林業が18%増という二重構造だった。データセンター建設が押し上げた建設部門と、開示されない精密農業ソフトの売上をどう読むかを整理した。

トラクターの会社の決算書に、データセンターが顔を出している。同じ会社の中で、二つの経済が別々の向きに走っていた。

農機メーカーの決算を、AI関連の文脈で読む日が来るとは思っていなかった。

8月20日に出たディア・アンド・カンパニーの2026年度第3四半期(8月2日締め)は、純利益13億7,900万ドル、1株利益5.10ドル。前年同期の12億8,900万ドル、4.75ドルを7%上回った。総売上高は126億800万ドルで5%増。事前の市場予想は1株4.7ドル前後だったから、まずまずの勝ち方である。

ただし9ヶ月累計では純利益38億800万ドル、1株利益14.06ドル。前年の39億6,200万ドル、14.57ドルをまだ下回っている。四半期は勝ち、年度は負けている。この会社の現在地は、その一行に全部入っている。

建設・林業が18%伸びた中身

減っているのは農機だ。主力の大型農機部門(プロダクション&プレシジョン農業)は出荷台数が落ち、通期の売上見通しも前年比10%減で置かれている。

伸びているのは建設・林業である。第3四半期は36億ドル、前年比18%増。通期見通しは20%増だ。5月の決算説明で経営陣がこの部門の見通しを引き上げたとき、理由として挙げたのがデータセンターとインフラ投資だった。

つまり、いまこの会社をAI投資ブームに接続しているのは、自動運転トラクターでも画像認識の除草剤散布でもなく、造成地を掘っているショベルの方だ。精密農業が話題を独占している横で、数字を持ち上げているのは地味な鉄である。

ここは押さえておくべき皮肉だと思う。AIの受益者を探すとき、我々はつい賢い側を見る。実際に先に金が落ちるのは、土を動かす側だ。

「2026年が底」という言葉に値段はつくのか

ジョン・メイCEOは今回も同じことを言った。2026年が現在の農機サイクルの底になる、と。早期受注の傾向、改善する中古機の在庫、先進技術の顧客採用の増加が、その自信の根拠だという。

問題は、彼が去年の11月にも同じことを言っていることだ。2025年度の通期決算で「2026年が大型農機サイクルの底になる」と述べ、そのうえで2026年度の純利益見通しを40億〜47億5,000万ドルと置いた。前年の50億ドルから、さらに落ちる想定である。

同じセリフを二度聞かされたと切って捨てることもできる。ただ、中身は変わっている。当初40億〜47億5,000万ドルだった通期の純利益見通しは、今回47億5,000万〜50億ドルへ切り上がった。関税の回収も進み、第3四半期に1億1,000万ドル、9ヶ月で3億8,200万ドルを戻している。言葉は同じでも、言葉の後ろにある数字は上を向いた。

それでも、これは予言である。農機のサイクルは穀物価格と農家の所得で決まり、経営者の意思では動かない。「底だ」という発言に値段を払うのは、当てにいく行為だ。私はそれをやらないと決めている。

精密農業のソフト売上は開示されていない

この会社を長く持つ理由があるとすれば、鉄ではなくソフトの方だろう。

断片は出ている。除草剤を50〜60%減らすという「See & Spray」は、直近で世界5百万エーカー規模まで拡大した。契約更新率は全体で70%、2年目の顧客では90%を超える。接続された機械は100万台、稼働するのは500百万エーカー。第2四半期の研究開発費は5億8,300万ドルで、前年同期の5億4,900万ドルから積み増している(いずれも第2四半期時点の開示)。

だが、精密農業のソフトウェアやサブスクリプションが年間いくらの売上になっているのかは、独立した数字として開示されていない。だから外からは、この会社が「ソフトで稼ぐようになりつつある鉄の会社」なのか「ソフトの話をしている鉄の会社」なのかを測れない。

私が次に見るのはそこだ。条件は二つ置いた。ソフト・サブスクの売上を金額で開示し、その金額が2四半期続けて前年を上回ること。そして、谷であるはずの今年度通期で、大型農機部門の営業利益率が15%を保つこと。

ひとつ注意がある。この手の条件を「ソフト売上が全体の何%を超えたら」と比率で置くと、まず失敗する。鉄が売れなくなるだけで比率は勝手に上がるからだ。会社が悪くなるほど条件が満たされる仕掛けになっていて、それに気づかず何度か作ってしまったことがある。だから金額で見る。

PER33倍を谷の利益に払うということ

8月20日の株価は583ドル、PERは33.4倍。52週の高値は674.19ドル、安値は433.00ドルだ。

谷の利益に33倍。景気循環の株ではよくある形で、これ自体が異常なわけではない。利益が谷なら倍率は膨らむし、回復すれば1株利益が伸びて倍率は勝手に下がる。理屈は通っている。

通らないのは、回復が2年ずれた場合だ。私は株価が下がったという理由で売らない。売るのは、事前に決めた条件が実際に起きたときだけである。その持ち方をする人間にとって、サイクルの回復時期に依存する銘柄を谷の高い倍率で買うのは、入口の作りが悪い。当たれば持ち続け、外れても持ち続けることになる。外れたときの「持ち続ける」が長すぎる。

だから今回は見送った。判断は10月末まで動かさない。次に見るのは11月の決算と、さっきの二つの条件である。

畑の方はまだ静かだ。音がしているのは、データセンターの造成地の側からだった。