RSG リパブリック|値上げ6.4%と数量マイナス1.6%
リパブリック・サービシズの2026年Q2は、数量が1.6%減った四半期に売上が4.6%伸びた。値上げだけで成長した決算であり、非AI柱の控えに一つも欠けていた「値上げが通る会社」の候補として検討する理由と、その最大の弱点を整理した。
客の量が減った四半期に、売上も利益も増えた。値上げが通る会社の見分け方は、たぶんこれだけでいい。
8月6日に出たリパブリック・サービシズの4〜6月期は、地味な決算だった。売上44.3億ドルで4.6%増、調整後EPSは1.85ドルで4.5%増、調整後EBITDAは14.2億ドルでマージンは32.1%と横ばい。通期見通しは引き上げた。
数字だけ見れば、退屈な会社の退屈な四半期である。ただ、内訳が普通ではない。
数量マイナス1.6%、売上プラス4.6%
売上の4.6%増を分解すると、価格が5.2ポイント、買収が1.1ポイント、そして数量がマイナス1.6ポイントだ。関連売上ベースの中核値上げ率は6.4%(オープン市場7.8%、規制下4.1%)。会社はこの値上げ幅がコストインフレを上回り、基礎事業のマージンを90ベーシスポイント押し上げたと説明している。
つまり、客に運ばせるゴミの量は減っているのに、1トンあたりの値段を上げて、売上も利益も増やした。
私はこの連載で、企業を「通行料を取る側」と「払う側」に分けて見ている。判別の仕方はいくつもあるが、いちばん確実なのはこれだと思う。値上げして客が減らないか。数量が落ちた四半期に、値上げだけで利益を伸ばせたなら、それは実測された答えになる。
比較すると分かりやすい。同じ枠の候補にメルカドリブレがいるが、あの会社は4月に手数料を下げて出品者を増やした。売上は50%伸びている。伸び方が逆なのだ。値下げして数量で勝つのが強い参戦者、値上げして数量が減っても勝つのが料金所である。どちらも勝ちだが、同じ勝ちではない。
埋立地の平均残存年数は56年
なぜ値上げが通るのか。答えは、代わりがないからだ。
同社は208か所の埋立地、248か所の中継施設、75か所のリサイクル施設を持つ。モーニングスターによれば、同社の埋立地ポートフォリオの平均残存年数は56年で、同業他社を大きく上回る。
ここで効いているのは規模ではなく、許認可である。新しい埋立地を作ろうとしても、地元の合意と環境許可が要る。誰も自分の町の隣にゴミの山を作らせない。つまり、すでに持っている者だけが持ち続ける。競合が値段で殴り込もうにも、殴り込むための土地が手に入らない。
これは半導体の関門とは形が違う。台湾積体電路が強いのは、最先端の工程を他社が作れないからだ。リパブリックが強いのは、誰も作らせてくれないからである。技術で守られた場所と、制度で守られた場所。後者のほうが、技術の陳腐化を受けない分だけ寿命が長い。
控えが4件あって、値上げが通る会社が一つもない
このポートフォリオは12の枠を役割で分けていて、そのうち3割強を「AIの当たり外れと相関しない収益の柱」に置いている。イーライリリー、インテュイティブサージカル、S&Pグローバル、トランスダイム。
問題は控えのほうだ。この枠を狙って待っている候補は現在4つあるが、メルカドリブレ、シー、ディーローカル、フィギュア——全部、新興国の決済かプラットフォームである。地域も業種もばらけていない。そして全員が、値上げに耐える立場をまだ証明していない。証明できていないから控えのままなのだが、控えが4件並んで全員が同じ理由で足踏みしているなら、それは選び方の偏りだ。
ゴミ収集は、そのどれとも重ならない。AI投資が続こうと止まろうと、家庭と店舗からゴミは出る。景気後退でも、量が数%減るだけだ。実際いま、数量はマイナス1.6%である。それでも利益は増えている。
この見立ての、いちばん弱いところ
正直に書くと、この銘柄を推す最大の障害は、成長率そのものだ。
売上4.6%増、EPS4.5%増。通期見通しは売上172〜173億ドル、調整後EPS7.23〜7.28ドル、調整後フリーキャッシュフロー25.4〜25.75億ドル。堅実だが、それだけである。同じ枠にいるイーライリリーは直近の四半期で売上が48%伸びている。構造の純度だけを理由に、48%伸びる会社を外して4.6%の会社を入れるとしたら、それは原則への忠誠であって判断ではない。
弱点は他にもある。買収で伸ばしている会社だという点だ。上期だけで8.65億ドルを投じ、年内にさらに12億ドル程度を見込む。総債務は142億ドル、レバレッジは約2.6倍。買収による成長は、買収先が期待どおりでなければ価値を壊す。モーニングスターも米エコロジー買収の実績を懸念材料に挙げている。
規制の側にも火種がある。ニューヨーク州で提案されているPFAS規制は、埋立地の運営と浸出水の処理費用に効きうる。制度で守られている会社は、制度が変わったときにいちばん直接に殴られる。守ってくれるものと、殴ってくるものが同じなのだ。
リサイクル商品価格も四半期で1トン136ドルと、前年の149ドルから下がっている。ここは自分で値段を決められない部分である。
10月下旬に見る数字
見るのは一つだけでいい。値上げがコストインフレを上回り続けているか、そして数量が減っている四半期に売上と利益がまだ増えているか。この2つが同時に成り立つ限り、この会社は通行料を取る側にいる。どちらかが崩れたら、ただの労働集約型のサービス業に戻る。
判断は10月末まで動かさない。次の決算は10月下旬の見込みで(前年のQ3は10月30日)、ちょうど枠を見直す日と重なる。それまでは、控えに一つも入っていなかった型の会社が視界に入った、という記録だけを残しておく。
料金所を探すとき、つい最先端のほうばかり見てしまう。誰も作らせてもらえない場所に、56年ぶんの穴を持っている会社がある。